ON THE TRIP は今、とにかく人手が足りません。そこで、ライター、エンジニア、セールスを募集しているのですが、きょうは「どんな仲間がほしいですか?」というテーマで成瀬さんと森上さんを交えて話をしたいと思います。というのも、ぼく自身、どんな人が ON THE TRIP という仕事を楽しめるのか、よくわかっていないんですよね。なので、ふたりに聞いてみたいんです。
仲間の募集には、ふたつの視点があると思うんです。ひとつめは「カルチャー」としてどんな仲間がほしいか。そして、ふたつめが「スキル」。まずはスキルについて話をしたいと思います。
「旅が好き」は当たり前。ON THE TRIP の「ライター」とは?
志賀:「ライター」の仕事内容でいうと、ふつうのライターとは少し違うなと思っているんです。詳しくはvol.3で話しましたが、ON THE TRIP のライティングとは「体験に近い文章」を書くこと。事前に読むことを想定したガイドブックや、効率よく情報を届けるネットメディアとも違います。その場所にあるものを活かして、いかに「旅の体験をふくらませる」か。文章だけではなく、写真やデジタルを活かして、いわばコピーライター的に企画する必要があると思うんです。
とはいえ、それは2番目の要素。こういう人がいればぴったりなのかなぁという条件を3つあげるとしたら、①書きたいこと伝えたいことを強烈に持っている人、②コピーライター的な企画ができる人、③本などをたくさん読んできた文章力がある人。どう思います?
成瀬:文章力がある人って基準が難しいですよね。
森上:うーん、確かに。
志賀:ぼくは文章のうまさは読書量に比例するというか、文章力がある人は奇しくも本を読みまくっている、と思っているんです。
成瀬:映画とかでもいいんじゃないですか?
志賀:確かにそうかもしれませんね。森上さんもゲームをやり尽くした過去がある。それは「ストーリの消費」だったとvol.4で言っていましたが、そういう「引き出し」の多さみたいなことが必要なのかもしれません。文章が上手でなめらかっていうよりは、この旅先なら「あれ」と関連づけて物語を結べるかな、というような引き出しがあるか。たとえば、新宿御苑なら「心象風景のレッスン」というテーマで、「言の葉の庭」「東山魁夷」「東海道五十三次」などを引っ張り出してきて日本を語ってみた。
ほかにも、きのうぼくは「昭和落語心中」というアニメを見て感動してしまった勢いで、きょうは日本橋の寄席で落語を見てからここに来ました。そして今、落語のような語り口とオーディオでガイドをつくるならどこがいいだろう? と考えている。そんな感じでいろんな視点があると書きやすい、というのが③の要素なのかもしれませんね。
成瀬:ぼくとしては、コアメンバーとして書いてくれるライターが2人、男女で加わってくれるといいなと思っています。
志賀:確かに女性目線のコンテンツも必要ですよね。エンジニア目線だと、どんなライターがやりやすいですか?
森上:「このコンテンツを届けるために実装してるんだ」と思えることが、ぼくたちにとってもモチベーションになるので、 心踊るコンテンツがあがってくるか、ということですかね。となると、やっぱり「これをめちゃくちゃ書きたい」と思う熱量があるか、という話になるのかなとは思います。
成瀬:ぼくはモバイルネイティブの発想が大切だと思ってて、スマホの画面の中でどう表現するかっていうのを、文章もなんですけど、ここに写真をいれて、こういう音声をいれれば、感情の起伏が大きくなるというように複合的に考えられる人が理想ですね。そういう経験があるなら最高ですが、ぼくたちも挑戦している段階なので、一緒に挑戦してくれる人がいい。
森上:確かに。そうなるとライターというくくりで本当にいいのか? という話でもありますよね。
成瀬:いや、ほんとそうですよね。コミュニケーター? ダサいけど笑
志賀:ダサい笑
森上:ダサい笑
志賀:軸はあくまでライティングなんですけどね。
成瀬:フォーブスのCPO、ドボーキン氏が「今は普通に文章を書く人はいらない」と言っていました。写真はもちろんGIFや映像もある程度自分で作れて、モバイル表現を追求できる人じゃないと生き残っていけないって。ぼくたちが今やっていることって、文章を書くことはもちろんですけど、写真や動画でどのように表現するかってところにも、だいぶ時間を使ってる。ぼくたちは「文章」を売ってるんじゃなくて「体験」を売ってるので。つまり、体験コミュニケーター笑?
志賀:ダサい笑
森上:ダサい笑
より多くのガイドを、より多くのユーザーに、より深く響くように。ON THE TRIP の「エンジニア」とは?
志賀:エンジニアはどうですか?
森上:開発陣が担うのは、「より多くの物語を、より多くのユーザーに、より深く響くように」ということ。もちろんサービスである以上、ユーザーに寄りそう必要があるんですが、ぼくたちの製品自体にプロダクトアウトな面があると思っていて。プロダクトアウトっていうのは、作り手が信念を持って、自分が「いい」と思うものを作るということ。そこにファンが生まれて、ぼくたちが作るものを信じてついてきてくれる。そういったところを目指すサービスだと思うんで、一般的に「いい」と言われていることが絶対正義じゃなくなる場面があるのかなーと思っています。
こんなに長い文章とか、エモいとキモいの紙一重にある文章とかって、一般的なユーザーヒアリングにかけたら「あんまり響いてない」みたいな結果が出るもしれない。それは怖いかもしれないし、間違ってるかもしれない。それでもやる。そこを面白がってやれる人が合っているのではないでしょうか。アプリケーションの開発もそう。ぼくたちがコンテンツを届けようと思ったときに、もしかすると、一部のユーザーにとっては使いにくかったとしても、それをよしとしてプロダクトアウトするケースがありうると思っていて。
成瀬:そこはバランスが難しいですね。
森上:そうなんですよ。もちろん「なんでこのアプリケーションをつくってるの?」って聞かれたら、ユーザーの旅の体験をふくらませるため。コンテンツが届かないことには意味がない。そのためにはすべてのユーザーが使いやすくないと困る。でも、それと同時に使いやすさが意思決定の一番の軸になってしまうと、プロダクトアウトできなくなる。だから、そこはバランスをとらないといけない。
矛盾していることだし、なにをもってユーザーに寄るか寄らないかというのは難しいところです。そういう意味では、ベースとしてすべてのユーザーに寄りそう姿勢でサービスを作ってきた人がいいと思います。でも、ぼくたちは世間で言われていることと逆の意思決定をすることもあるかもしれない。それが時として是である、ということを理解できる人、飲みこめる人。そのジャッジに対してしっくり来る人というのが大切かな。
志賀:その判断基準に「しっくりくるか」ですね。そこで「キモい」となったらあわないと。
森上:そうそう、「キモい」判定出され続けると辛いですから笑。あとは今の ON THE TRIP にあるようなコンテンツを「ユーザーに届けたい」と思える人ですね。
成瀬:「届けたい」という思いはあってほしいですね。エンジニアの人って、記事を読まずに実装していくタイプの人もいるじゃないですか。ぼくはやっぱり読んでほしいですね。そしてエンジニアとして意見をもらえるとうれしいです。このコンテンツのここはこうしたほうがいいんじゃない? って。これはスキルではなくカルチャーの話かもしれませんが。
志賀:技術力の面ではどうですか?
森上:技術力より、その人のそもそもの性質として、なんのためにそのコードを書いてるか、ハッキリ分かってることが大事かなと。コードを書くためにコード書いてる人はちょっと違うかもしれません。
志賀:「コードを書くためにコードを書いてる人」なんて、いるんですか?
森上:いや、それは悪いことじゃないんです。悪いことじゃないんですけど、技術が好きでコードがうまくなりたくてプログラマーになる人はたくさんいます。そういう人は記事を読みこんだりしないでしょうし、意思決定の場面でも技術的に正しいことを積極的に選択しちゃうと思います。それは特定の文脈では正しいんですが、僕らにフィットする正しさじゃないのかなーと。
志賀:なるほど。
森上:技術面をあえていうなら、フロントエンドで言えば①できればゼロから、ネイティブ言語でアプリケーションを3本以上つくったことがある人、②プラットフォームの独自の癖やUI部分の造詣がある人、③アーキテクチャを考えられる人ですかね。バックエンドで言えば、①Ruby on Railsでのアプリケーションの開発経験が2年以上ある人。②インフラにクラウドサービスを使ってアプリケーションを構築したことのある人。③国内だけじゃなく、海外に向けてアプリケーションを展開したことがある人 とかですかね。
志賀:ぼくはエンジニアとライターがうまくかみあえば面白いと思うんですよね。浅草寺のガイドはアプリの「めくる」動作がとても気持ちいので、みんなにたくさんめくってほしいというところからライティングを考えはじめたんです。でも、物語調の言葉となる扉ページはフェードインしてくるような演出で文字を表現できたらいいなぁとか思ったんです。そういうところを一緒にわいわい作っていけたら嬉しいなぁと思います。文字のモバイルでの新しい表現方法を一緒に探してくれるエンジニア。
営業経験をもとに事業戦略を考える。ON THE TRIP の「セールス」とは?
志賀:最後にセールスについて。成瀬さん、どうですか? 正確にいえば、成瀬さんはセールスじゃないんですけど。
成瀬:今のタイミングでは、ぼくと一緒に事業戦略を考えてくれる営業マンがほしいです。
志賀:今は成瀬さんが営業マンをやってくれているわけですが、どういうところが難しいですか?
成瀬:現状は、飛び込みでいけるような話じゃないんですよね。今はさまざまな人から提携先を紹介していただいて話し始めます。でも今後、せっかくご紹介いただいたのに、ぼく一人だとスケジュールがどんどん遅れていっちゃうんですよね。そこを一緒にやってくれる人を探しています。
森上:事業戦略を一緒に考えるというのは?
成瀬:どういう提携のやりかたがいいのかって、それぞれの場所で違うんです。コンサルをやっていた人とかすごく合っていると思うんですけど、どの提携先とどのように提携すればいいのかを、提携先と一緒に提携先の立場を考えながら提案できる人。セールスマンというよりは、事業を一緒に考えてくれるビズデブ。
志賀:ビズデブ?
森上:ビジネスデベロッパーのことです。
志賀:??
成瀬:新しい事業を開発してくれる人。
森上:ぼくはゴリゴリの営業マンとはほんとにそりがあわないんで笑
成瀬:じつは、ぼくも苦手なんです笑
森上:今の ON THE TRIP はクリエーター気質の人間ばっかりなんですよね。
成瀬:フェーズによって変わっていくとは思いますが、今は優しい系の人ばかりでもあります。
志賀:ぼくたちみんな敬語で話してますもんね。
成瀬:変な正義感があってもよくないと思うんです。正義感を押しつけてこれは正しいです、ふざけんな、とか言わない感じで。
森上:傲慢な「ゴーマンズ」はいらない。謙虚な「ケンキョーズ」がいいって前に話しましたよね。でも、こんな座談会みたいなことをして偉そうなことばかり言ってると、ぼくたちもゴーマンズに聞こえますね笑
志賀:成瀬さんがいちばんケンキョーズですよね。なんでも受け止めてくれるから、巷では謙虚寄りなぼくなんかも相対的にゴーマン化してしまう笑。
成瀬:やめてください、ストレスしかたまらないじゃないですか笑
森上:でも、ほんとうにそうなんですよ。人をゴーマンズにする力を成瀬さんは持ってる笑。ただ、一芸に秀でてる人たちは多かれ少なかれみんなゴーマンズですよ。どっちがより表に出るかであって、ゴーマンのかけらはみんな持ってますから。
成瀬:かけらは持ってても、ちょっとおさえてほしいです笑。常にケンキョーズで、礼儀正しい感じで。
志賀:笑
森上:笑
成瀬:いや笑いごとではなく、ほんとに。お互いに寄りそって。まとめると「ゴーマンズよりケンキョーズ」ということで。
志賀:ON THE TRIP らしくない言葉遣いですがいいんですかね笑
成瀬:ダサい笑
森上:ダサい笑
エモいとキモいの境目にいる人。カルチャーとして ON THE TRIPに合っている人とは?
志賀:このダサいって感覚も「エモいとキモいは紙一重」なんですかね。
森上:エモいとキモいの境目にいる人ですよね。そこにいる人はエンジニアとしても「技術ドリブン」にならないと思うんですよ。
志賀:ライターの「書きたいこと伝えたいことがある人」というのもそういうことかもしれない。ちょっとナルシストなぐらいでちょうどいい。
森上:それはそうと、アマゾンが採用する基準に「バーレイザー」って言葉を使ってたんです。つまり、「チームの平均値をあげる人」しかとらないって。
成瀬:なるほど。
森上:その人が加わることで、ON THE TRIP の謙虚度が上がるのであればいい、という。
成瀬:どんどん謙虚になっていくわけですね。それはいい。
志賀:え、どうなんですか? それ、マジで言ってますよね?
成瀬:謙虚度を上げてくれる人。うん、いいと思います。
森上:自分が謙虚なだけでなく、周りまで謙虚にしてしまう人。
成瀬:最高ですね、それは。「センキューよりアイムソーリー」みたいな。
森上:超日本的ですね。
成瀬:多様性より一様性。センキューよりアイムソーリー。
志賀:いま、それ言いながら首かしげましたね笑
森上:うん、言っててあれ?って笑
成瀬:わかんなくなってきました笑
森上:でもなんだかんだ、明るい人がいいですよね。一緒にいて楽しい人がいちばんですよ。
成瀬:ずーっと笑ってる人。
志賀:そういう終わり方でいいんですか笑
森上:結局、明るい人がいいです。という内容のない結論になりました笑
志賀:これまで偉そうに話してしまったことは参考までに笑。成瀬さん、最後になにかありますか?
成瀬:今後、世界に打ち出していきたいというサービスだから……
森上:あ、それ!それがないといけないですね笑
成瀬:ぼくたちは国内にとどまるつもりはありません。グローバルがどうという話ではなく、当たり前のように海外に展開していきたい。21世紀のロンリープラネットをつくるというような気持ちでやっているし、旅の体験が変わる節目をぼくたちと一緒に作っていくんだ、その潮流を一緒に作るんだ、という仲間を待っています。
志賀:最後ダサい、って言いたかったのに笑
森上:ダサくない笑
READIO ON THE TRIP vol.7、今回は「仲間を募集中」という声をお届けしました。
座談会のような形となりましたが、採用募集って「募集要綱」にできるようなことじゃないような気もしています。無理にそんなことをするから、結局、「コミュニケーション能力のある人」みたいになってしまうのかも。それに、ライターが求めるライター、エンジニアが求めるライターなどなど、同じ会社でも立場が変われば求める人も変わるんですよね。
だから、ぼくたちは「こんな仲間がいればなぁ」というテーマで話したことを、そのまま皆さんに伝えたいと思いました。この会話、ほぼノーカットです。なにより、仲間を募集するにはまず、ぼくたちのことを知ってもらわなくてはいけません。今回の座談会によって、ぼくたちのふだんの雰囲気が伝わればいいなと思っています。こんなぼくたちとなら一緒に働きたいな、そう思ってくれた方は、きっと ON THE TRIP にあっているのだと思います。
興味を持ってくださった方は、ぜひ上記の応募フォームからご連絡ください。