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上吉田の町を見回してもどうだろう。お祭りの日でもない限り、人通りは決して多くない。閑散としているわけではないが、歩みを止める人がいない。町を素通りしていく人が生み出す風だけが吹き抜ける「名なしの町」。そんなタイプの静けさに包まれている。
しかし、江戸時代。この町はまるで現在の伊勢神宮の門前町のように、あるいは浅草寺の仲見世のように、大勢の人たちで賑わっていた。
そう、「上吉田」と呼ばれるこの町は、むしろ名高い宿場町。あらゆる日本人が「人生に一度は登りたい」と憧れた富士登山のベースキャンプであり、富士山を信仰するグループ「富士講」を支えた御師の町だった。
「御師」とは、富士登山をする人たちのために、自宅を宿坊にしてサポートをした神職のこと。上吉田には、そんな御師の家がズラリと建ち並んでいたのだ──
御師の町・上吉田
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