貴船神社は、水の神さまを祀っています。
井戸端会議という言葉もあるほど、昔から人は水のまわりに集まっていました。
人だけではなく文化もまた同じ。過去、黄河文明やインダス文明などの四大文明はみな、大きな河の側で発展してきました。水のまわりには、あらゆるご縁が集まる。だから貴船神社では、恋だけでなく友だちや家族、ビジネスのご縁がつながると言われています。私たちの生活に欠かせない「水」がつないでくれるご縁。
2020年2月より、貴船神社でSOUND TRIPの取り組みをスタートします。
貴船神社では水の神様を祀るという物語から、音楽を制作。アーティストは、3人組の音楽ユニット・水曜日のカンパネラでボーカルを務めるコムアイ。そして、奈良県出身で京都に住む音楽家オオルタイチ。二人がユニットを組み、貴船神社に祀られる竜神からインスピレーションを受けて制作したのが本作品。貴船神社でしか聴けない、貴船神社で聴くことに意味のある音楽です。
日本人はとにかく、昔から水を大切に考えていました。
一説には、穢れる(けがれる)という言葉は、気が枯れるということが語源と言われ、この気の元になるのが水。人は年をとることで水分が失われていく一方、赤ちゃんは水分量が多く、瑞々しい(みずみずしい)といいます。水が豊かなことは気が良い、「清い(きよい)」ことなのです。
貴船神社が「氣生根(きふね)」と読まれ、「万物のエネルギーである気が生まれる根元の地」といわれてきたことも、おそらくここが水源地だったから。
貴船神社同様、日本では水の近くに神社が多くあります。
数多くある氷川神社は、川に対して穏やかにいてくれて「ありがとう」という感謝を込めた神社。ありがとうとは、有り難い(滅多にないこと)ことへの感謝。そして、ありがとうの反対語は「当たり前」。蛇口をひねればいつでもどこでも、安全な水が出るいまの日本。きっと、昔の人たちの方が自然からの恵みである水を大切にしていたでしょう。
貴船神社に来たことも、またSOUND TRIPを体験することも何かのご縁ですが、
これを機に今でこそ当たり前にまわりに存在する「水」と向き合ってほしいと思います。
貴船神社の本宮前に置かれた看板に書かれている言葉
一.自ら活動して他を動かしむるは水なり
二.常に己の進路を求めて止まざるは水なり
三.障害にあい激しくその勢力を百倍し得るは水なり
四.自ら潔うして他の汚れを洗い清濁併せ容るるは水なり
五.洋々として大洋を充たし発しては蒸気となり雲となり雨となり
雪と変じ霰(あられ)と化し凝(ぎょう)しては玲瓏(れいろう)
たる鏡となりたえるも其(その)性を失はざるは水なり
黒田官兵衛(黒田如水)が残した水の5訓という教え。
この言葉もまた、水にまつわる言葉。
貴船神社で音を体験したあとにも、じっくり読んでほしいと思います。
この体験は、
貴船神社指定の場所で聴けます
貴船神社アーティスト
コムアイ(水曜日のカンパネラ)/ オオルタイチ
3人組の音楽ユニット・水曜日のカンパネラでボーカルを務めるコムアイ。そんな彼女と、 オオルタイチが2019年より屋久島とのコラボレーションを試み、一枚のEP「YAKUSHIMA TREASURE」が誕生した。現在、この作品と同名のユニットで二人はライブを重ね、即興性を増し実験を繰り返しながら、ライブと制作を行っている。このユニットの新たな取り組みとして、貴船神社のSOUND TRIPがスタートした。
Artist Voice
貴船神社に何度も訪れ、ここで聴きたい音楽を作りました。貴船神社には、一対の龍神さまが祀られています。山上の龍神:高龗神(たかおかみのかみ)は天から降ってくる恵みの雨を表し、地底の龍神:闇龗神(くらおかみのかみ)は地中から湧き出る泉をを表しているのではないか、と一説には言われていて、さらにこれらは同一神であるとも言われています。奥宮の地下に眠っているといわれる龍穴に、マイクを垂らし、音が聴けたら、どんな音がするだろう、という想像をふくらませて、制作しました。
コムアイより
企画をご一緒にしたいお寺や神社さん、美術館などを運営している施設の方はぜひ、ご連絡をお待ちしています。
ON THE TRIP. ぼくたちの旅は続く。