水がひっきりなしに、止まることなく湧き続けた湿地。
こんこんと湧くその様子から、「水」が「生」まれる地としてここに壬生と名前がついた。
2020年1月より、壬生寺でSOUND TRIPの取り組みをスタートします。
水が生まれる土地という物語から、水をテーマに音楽を制作。アーティストは、ベルリンを拠点に活動をしているKyoka。現代の実験 ・電子音楽の最高峰としてそびえ立つレーベル”raster-noton”における、初の女性ソロアーティストです。
彼女とともに、壬生寺に降り注ぐ雨の音、地下より湧き出る水の音、蓮の花の上に落ちる水滴の音などを収録し、それに壬生寺が発祥の壬生狂言のお囃子の音楽をリミックスして制作しました。
バイノーラル収録となっており、右に左に、まるで自分が水の中にいるような体験ができます。
壬生寺でしか聴けない、壬生寺で聴くことに意味のある水の音楽。
さらに壬生寺の歴史を知ることで、音の体験が深くなります。
水が生まれる地として、壬生という名前がついたこの場所。
時は経ち、平安時代。快賢という和尚さんが母親の供養のためにお寺をつくりました。そのお寺は、土地の名前から壬生寺と名付けられました。これが壬生寺誕生のきっかけ。
そしてこのお寺が今日までこの場所に残るきっかけをつくった人が「壬生寺の中興の祖」と呼ばれる円覚上人。彼は、仏の教えがまるで水に広がる波紋のように伝わるため、あらゆるアイデアを生み出しました。そのひとつが落語のような面白おかしい説法でした。
というのも、仏教の教えはそのまま伝えたのでは分かりづらい。だから仏教を伝えることを、エンターテイメントにすればいいではないかと考えました。円覚上人の説法は面白く、話を聞くために何千という人々が集まり境内を埋めたとか。
しかし、ここでまた問題が起こります。境内を埋めるほど人が集まると、遠く離れた人は円覚上人が何を言っているか分からない。伝わらない。そこで遠くからでも人が理解できるよう言葉のいらないパントマイムを思いつきました。そうして、狂言を活用することに。その狂言こそが現代も毎年お寺で行われ、重要無形文化財にもなっている壬生狂言。
壬生狂言は毎年節分と、4月、10月の縁日の際に壬生寺で行われる無言劇で、地元の小中学生や社会人、長老など住民たちの手によって約700年の間受け継がれてきました。演目数は30曲。それらはすべて無言。仏教の教えが織り交ぜられながら、お囃子に合わせて登場人物が身振り手振りでストーリーを進めていきます。その様子はとても愉快で、娯楽の少ない当時は大変な人気を集めていたとか。こうして、仏の教えは波紋が広がるよう多くの人へ広がっていきました。
時が過ぎ、引力に引き寄せられるようにか、壬生狂言を見ていたある組織がいました。
そのメンバーこそ、新選組。
このSOUND TRIPは、壬生寺から湧き出る水の音、降り注いだ雨の音、
そして壬生狂言のお囃子の音を収録した瞑想できる音の体験です。
水が生まれるこの地だからこその音を、
壬生寺に来て、どうか、ゆっくりお楽しみください。
この体験は、
壬生寺のお指定の場所で聴けます
壬生寺アーティスト
Kyoka
現代の実験 ・電子音楽の最高峰としてそびえ立つレーベル”raster-noton”における、初の女性ソロアーティスト。 ベルリンを拠点に活躍している。そのライブパフォーマンスはファンを虜にし、インスタレーションやApple(世界)などのCM音楽を制作するなど活動が多岐にわたる。
shure x mixcloudの共同企画で、「世界のオーディオ文化の境界線を押し広げるアーティスト24人」に選出され、さらに一般投票でその中のトップアーティストに選ばれた。
企画をご一緒にしたいお寺や神社さん、美術館などを運営している施設の方はぜひ、ご連絡をお待ちしています。
ON THE TRIP. ぼくたちの旅は続く。