神護寺のSOUND TRIPは、床の軋む音から始まります。山の奥にあるお寺ということもあり、生命の音が至るところから聞こえます。その音を現場で収録し、そこに自身の声をのせて音楽にしたアーティストは、青葉市子。
この体験は、
神護寺の指定の場所で聴けます
神護寺に棲む
クリーチャーたちのうた
京都・嵐山の北部に位置する、高雄山(神護寺)・槇尾山(西明寺)・栂尾山(高山寺)は、古くから三尾と呼ばれる。ここ神護寺は、平安京の造営の最高責任者であった和気清麻呂が建立し、最澄が訪れ、空海が14年間も住持した平安仏教の発祥の地である。ご本尊の薬師如来や日本三名鐘の一つとされる梵鐘など、貴重な文化財を多く所蔵していることでも知られている。
神護寺で制作したSOUND TRIPの音楽は、ご本尊、薬師如来立像が安置された金堂の床の軋みを収録した音からはじまる。アーティストが実際に神護寺でフィールドレコーディングをし、ここでしか聴けない音楽体験をつくった。制作アーティストは京都出身のシンガーソングライターである青葉市子さん。金堂の床の軋む音、川のせせらぎ、かじか(カエル)の声、神護寺に存在するあらゆる音を収録した。
三尾を流れる清滝川はゲンジボタルの生息地として知られる清流で、このエリアはあらゆる生物が生き生きと暮らしている。静寂の中に川のせせらぎが聞こえ、かじかの声と共に、植物は葉を広げる。
この音楽を体験したあとに、ぜひまわりの風景、自然、そして小さな生きものたちにも目を向けてみてほしい。
青葉市子
音楽家。1990年1月28日生まれ。
2010年にファーストアルバム『剃刀乙女』を発表以降、これまでに6枚のソロアルバムをリリース。うたとクラシックギターをたずさえ、日本各地、世界各国で音楽を奏でる。近年は、ナレーションやCM、舞台音楽の制作、芸術祭でのインスタレーション作品発表など、さまざまなフィールドで創作を行う。活動10周年を迎えた2020年、自主レーベル「hermine」(エルミン)を設立。体温の宿った幻想世界を描き続けている。12月2日 (水) 、”架空の映画のためのサウンドトラック”として、最新作『アダンの風』を発表する。