退蔵院でしか聴けない音楽「wind of silence」

Chihei Hatakeyama * 退蔵院


退蔵院のSOUND TRIPは、ちょうど本堂を後にしてすぐに目に入ってくる「陰陽の庭」の枯山水を描く音を収録して作られました。アーティストは、アンビエント音楽を得意とし世界中にファンの多いChihei Hatakeyama。

この体験は、
退蔵院指定の場所で聴けます


退蔵院の陰陽の庭。


その庭の砂は黒と白の二色に分かれています。なぜ二つに分かれているのか?
世の中のものごとには、多面性があります。片方だけではその本質は捉えることはできません。それを端的に表現したのが、この「陰陽」の概念。中国で生まれたこの概念は、世界はすべて、春と秋、昼と夜、男と女など、相反するがお互いに補完する二つの性質を持つと考えています。この庭の白と黒が表現しているのも二面性。一方で、仏教には「不二」という考え方があります。それは「いい」「悪い」などの二元論を嫌うということ。正確には分ける必要があるのかと考えます。

たとえば、このご飯は「美味しい」「不味い」。あの人は「いい人」「悪い人」。でもそれは、物事をひとつの側面からしか見ていません。光があるから陰がある。お互いを分けようと思っても、分けることはできない。そもそも立場によって評価は変わります。

だから、すべてひっくるめて、あるがままを受け止めさないと仏教では教えています。

SOUND TRIPを体験した後、陰陽の庭を見るときそこに置いてある石の数に注目してほしいと思います。陰の庭に8つ、陽の庭に7つ。これもそれぞれ、陰を象徴する「8(偶数)」と、陽を象徴する「7(奇数)」に即したもの。8と7を足すと15になりますが、昔から15という数字は「完全を表す数字」だとされてきました。たとえば七五三を足すと15になりますし、十五夜もそう。この陰陽の庭では15個の石を8と7に分けることで、両方の庭を見ないと15にならないように作られています。良いところだけを見てもいけない、悪いところだけを見てもダメ。ここでもまた、すべてをありのままに受け入れることが重要だという、仏教の教えが隠されているのです。

改めて、この音楽は、退蔵院のこの陰陽の庭を描く音から収録して作られました。まるで川のように聞こえる音は、退蔵院で収録した風に揺れる竹の音。アーティストは、アンビエント音楽を得意とし世界中にファンの多いChihei Hatakeyama。ゆっくりと耳をすませて聞いてみてください。

そして、ヘッドフォンを取ったあと。
あなたのまわりに存在する音を聞いてみてください。

そう。この音楽を聴き終わったあと、周りの音たちがあなたのアンビエント音楽に切り替わる不思議な体験ができるはずです。世の中に流れている音に改めて気づくことで。周りの音をひっくるめて、あるがままを受け止めてみる姿勢が手に入るかもしれません。


Chihei Hatakeyama



デジタルとアナログの機材を駆使したサウンドが構築する美しいアンビエント・ドローン作品が特徴のアーティスト。2006年にKrankyより、ファーストアルバムをリリース。以後Room40, Home Normal, Own Records, Under The Spire, hibernate, Students Of Decayなど世界中のレーベルから現在にいたるまで多数の作品を発表。映画音楽やNHKアニメワールドなど音楽の幅も広い。ソロ以外では伊達伯欣とエレクトロ・アコースティックデュオOpitopeとして、2枚のアルバムをリリース。佐立努とのユニットLuis Nanookでは電子音と伝統的なフォークサウンドが混ざり合う音楽世界で2枚のアルバムをリリースしている。

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