妙心寺 春光院
夏の夜の特別公開をスタート
ー暗がりの中にある金の襖が、夜のロウソクにぽっと照らされている光景を
見たことはあるだろうかー。
2019年、6月29日から8月4日まで妙心寺の塔頭である春光院の特別公開を、春光院の川上副住職、弊社ON THE TRIPで主催、京都市の協力のもとに実施します。この特別公開では、夜に公開することにこだわったため、17:00から21:00までの夜間拝観。
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このお寺は普段、一般公開されていません。以前、特別に中を訪れたときのこと、川上副住職が美しい景色があると本堂に案内してくださいました。それが、本堂にある金の襖でした。その襖を前に、こう話してくれました。
「なぜ、襖の色が金色か分かりますか?これは豪華絢爛だからというわけではありません。」
夜になると、
金襖の美しさが見えてくる
金の襖は豪華絢爛だからという訳ではなく、その理由は夜にあったのです。夜、ロウソクの灯りの中で部屋を照らしたとき。その灯りが金色の襖に移り、まるでリフレクターの効果を果たして部屋の中が明るく照らされるのです。そして、金がロウソクの灯りによって襖絵の後ろへ埋没し、描かれている草木が前に出てきて立体的に目の前に浮かび上がる。この体験をしたら、金の襖の見方が大きく変わりました。
これをたくさんの人に体験してもらいたい。その思いで、今回の特別公開を実施することになりました。そして、境内をめぐるオーディオガイドを谷崎潤一郎の陰翳礼讃をテーマにして、川上副住職にナビゲートしてもらいながら巡るような設計にしました。陰翳礼讃の本には、次のような一節があります。
ーー私は黄金と云うものがあれほど沈痛な美しさを見せる時はないと思う。そして、その前を通り過ぎながら幾度も振り返って見直すことがあるが、正面から側面の方へ歩を移すに従って、金地の紙の表面がゆっくりと大きく底光りする。決してちらちらと忙がしい瞬きをせず、巨人が顔色を変えるように、きらり、と、長い間を置いて光るー(略)ーそれで私には昔の人が黄金を仏の像に塗ったり、貴人の起居する部屋の四壁へ張ったりした意味が、初めて頷けるのであるーー
現在の暮らしは、夜はもちろん昼間ですら明るい蛍光灯に照らされています。しかし少し昔には蛍光灯など存在していません。想像してみてください。夜の暗い中、ロウソクの灯りにぽっと照らされ輝く金の美しさを。または金が奥へ埋没し、描かれている草木や動物が浮き出てくる驚きを。
夏の夜の春光院でお待ちしています。
<春光院特別公開>
日程:6月29日から8月4日の毎日、17:00から20:30(受付終了)
拝観料:900円
オーディオガイド:無料(日本語、English、中国語)
※見所:国の重要文化財である、キリシタン銅鐘の見学、撮影ができます。また、京狩野の絵師、狩野永岳の作と伝わる、金碧障壁画や庭園を特別公開しています。室内も撮影いただけます。
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企画をご一緒にしたいお寺や神社さん、美術館などを運営している施設の方はぜひ、ご連絡をお待ちしています。
ON THE TRIP. ぼくたちの旅は続く。