無量寺のふすま絵の虎の巻

READIO ON THE TRIP vol.25

失われてはいけないアーカイブ


過去の記録があるわけでもないのに統一した見解がある。

たとえば、「愚海と応挙は昔から仲がよかった」という説。これにも証拠となる資料はない。ゆえに、想像を思い描く余地がある。たとえば、

「私は、愚海と仲がよかったのは芦雪だと思います。愚海も芦雪も同じ人に禅の手ほどきを受けているのですが、これが妙心寺の斯経慧梁(しきょうえりょう)という人。出家と在家の違いはあれど、愚海と芦雪は兄弟弟子なんですね。だからこそ、芦雪は無量寺にいちばん長く滞在したし、これほど力を入れて絵を描いた。愚海も芦雪が来たときに『思う存分、好きに描いてくれ』と一任したのではないでしょうか。愚海は芦雪の絵の力量も禅的な力量もよく知っていた。それくらい密接な関係だったと思うんです」

そう、話してくれたのは、無量寺の二十世住職だ。このガイドにおける襖絵の解説も住職に聞かせてもらったお話を中心にまとめた。これは貴重なアーカイブとなるかもしれない。

なぜか。

住職は2019年の3月を最後に無量寺を離れてしまうからだ。


すでに先代住職となられたこの方は、15年ものあいだ、この場所でお務めを続けてこられた。2009年に本堂のあるべき空間に芦雪の襖絵を蘇らせたのもこの方であるが、それ以前から毎日、住職として祈りを捧げてこられた。そして、ときに本堂を訪れる人たちに絵の解説も続けてこられた。その言葉は、ぼくたちのような旅人はもちろん、美術専門家とも違う視点を与えてくれる。

しかし、そのお話はもう聞くことができない。

だからこそ、串本にまで訪れたあなたにこのガイドを聞いてほしい。そして、想像をふくらませてほしい。そう願っている。

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ON THE TRIP. ぼくたちの旅は続く。

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