4月11日より、祇園の真ん中に位置し京都最古の禅寺である建仁寺と提携した公式オーディオガイドをリリースしました。建仁寺としても初の事例で、境内の中に10個のスポットを用意し、それぞれの場所でガイドを聴けるようになっています。建仁寺ガイドのテーマは「禅とはなにか?」
iPhoneを生んだスティーブ・ジョブスは若い頃から禅の思想に浸り、すこし前では反資本主義を唱えたビートニック詩人や音楽家のジョン・ケージ、建築家のバックミンスター・フラーにも影響を与えたと言われています。さらには、Panasonic創業者の松下幸之助が傾倒していたことでも有名。
いま世界中で禅の魅力が広がっていますが、なぜいま世界を魅了しているのでしょうか。そして世の経営者たちが、多忙を極める中で取り組んでいた理由とはなんでしょうか。禅はサンスクリット語で、精神集中という意味があります。本来なら歩きながらでもまたは立ちながらでもできますが、座ることが一番安定していたので座禅が普及。その教えの特徴は、不立文字、教外別伝。他人からの教えや、文字、言葉にとらわれず、“いまここ”に生きる自分の心をとらえること。つまり、誰かに教えを請うのではなく自分と対峙して、悟りを見出そうとすることにあります。これは、生きものすべてが本来持っている仏性に気付くための教えと言われています。
人によってさまざまな気づきのある禅。そのすべてが教えであり自分の内から気づくもの。これだ!という確立した定義はなく、実際にやってみることこそがもっとも大切と言います。日本で禅のルーツのひとつになった約800年の歴史を持つ建仁寺をめぐると、あなたの知らない自分と出会えるかもしれません。建仁寺さんにインタビューしながらじっくりとつくったガイドを、お楽しみください。
心のシェルターとしての建仁寺
今回のガイドを制作した鈴木です。
皆さんは『禅』と聞くと、何を思い出すでしょうか?座禅や禅問答、なかにはApple父、ジョブスを思い出す人もいるかもしれません。
ジョブスは若い頃に禅に出会い、大きな影響を受けたと聞きます。そう聞くと、ミニマルで無駄のないiPhoneやMac bookにもその影響が見て取れないでしょうか?もしジョブスが禅と出会っていなかったら「そう、iPhoneならね」という名文句も生まれなかったのかも。
このガイドで紹介している建仁寺は、京都に初めて誕生した禅寺。お寺ができたのは約800年前の鎌倉時代。中国の宋に渡って禅を学んだ栄西禅師が初代住職を務めました。禅というと難しそうな印象を抱く人が多いと思います。実際私も、取材して感じたことは「やっぱり禅って難しい」ということでした。というのも、禅の教えは言葉に表せられるものではなく、修行の体験を通して自ら発見するものだから。その答えは人それぞれで、どんな高僧でも終着点は微妙に異なるものだといいます。
ということで、このガイドは禅の教えについて軽く紹介するにとどめ、建仁寺の見どころを中心に、「禅の入門ガイド」になるように作成しました。ガイドの中には簡単な座禅の方法も紹介しているので、購入された際はぜひ試してみてください(特に都会で忙しく働いている人にはぜひ実践してみてほしいです。座禅をすれば頭を空にできるので、リフレッシュにも役立つはず)。
学ぶよりも体験する方が多くの気づきが得られることもある。このガイドを読んで禅の深みにどっぷりとハマり込んでもらえたら、とても嬉しく思います。
ON THE TRIPライター・鈴木雅矩
最後に、初めての事例の中にも関わらずとても理解をしてくださりガイド制作に多大なご協力をしてくださった坂井田さん、真神さん、本当にありがとうございました。
ON THE TRIP. ぼくたちの旅は続く。