禅は自分へのごほうび、大好きなケーキのようなもの
喜びは「自分の中」にあったのだと気づきました
【禅で変わった私の暮らし】

第五回 柳沢晴子さん

全国から受講者が集まる、人気の幼児教室を主宰していた柳沢晴子さん。新型コロナウイルスの影響で、長年取り組んできたお仕事と、家族との生活に変化が訪れます。自宅での仕事が増え、一人の時間が無くなったことに強いストレスを感じていたそうです。
自分を変えたいという思いから、「InTrip」で朝・晩の禅をスタート。雑念と向き合い、心の中を眺めるうちに、抱えていたつらさを手放していきます。

自分の居場所を探して
朝晩の坐禅をスタート

―― 柳沢さんが禅に興味を持ったきっかけを教えてください。

15年前から幼児教室を主宰しており、リトミック、創作絵本など複数のクラスを運営していました。ところが、新型コロナウイルスの影響で、レッスンに使用していた自治体の施設が借りられなくなってしまったんです。
先が見えない状況が続き、感染対策の面からもグループで開催していたクラスは終了することに。オンラインレッスンメインに切り替え、仕事は主に自宅でするようになりました。

同時期、夫の仕事も在宅でのテレワーク中心になり、息子の小学校も休校に。それまで日常だった出先での仕事や友人とのランチ、旅行なども一切無くなり、生活が一変しました。
徐々に心に余裕が無くなり、イライラしてしまって家族に当たることが増えていきました。

―― 仕事、生活スタイルがいやおうなしに変わり、当たり前だったことができなくなるのはつらいですね。

情熱を持って取り組んでいた仕事の一部を手放したのは残念でしたが、オンラインに切り替えて続けられたのは幸いです。
つらかったのは、自分の時間が全くというほど無くなったことです。外出もままならず、仕事をしながらの家事、息子のオンライン授業のフォローなどで目まぐるしい日々が続き、「家には自分の居場所が無い」と思い詰めるようになりました。

心穏やかに過ごすために、何か新しいことを始めてみたい。今の状況を変えるきっかけになるものを見つけられたら…と考えていたときに、SNSで禅アプリ「InTrip」に出合いました。自分と向き合う時間が欲しくて、さっそく始めてみることにしたんです。

―― 禅の世界には、抵抗なく入っていけましたか?

両親が大の京都好きで、子どもの頃から毎年京都旅行へ行き、お寺巡りをしていました。社会人になってからも、関西出張のたびに京都に寄っては、お寺で過ごす一人時間を楽しんでいました。
お寺は昔から大好きで、禅にも興味はあったのですが、長時間座ったり根気が必要なイメージだったので、短気でせっかちな自分には向いていないと感じていたんです。でも、「InTrip」を知って「なんとかして自分を変えたい。禅を始めるなら今だ!」と思い、飛び込んでみることに。
本当はお寺の坐禅会に参加したかったけれど、コロナでどこも中止になっていたので、アプリで禅を始められるのはありがたかったです。

集中して取り組もうと思い、朝30分、夜寝る前の1時間を坐禅の時間と決めて、1か月間毎日続けました。一週間の入門プログラムからスタートし、初級、中級…と順を追って進めていきました。

積み上げてきたものを
一つひとつ手放していく

―― 朝晩の坐禅を1か月! 柳沢さんの変わりたいという思いが伝わってきます。

坐禅を組み、瞑想している間は自分だけの時間に没入できます。毎日、禅の時間がくるのが楽しみだったので、無理なく続けられましたね。
はじめの頃は、坐禅を始めると雑念がたくさん浮かんできました。それを眺めていると、「雑念は、手を付けないで放置していることだ!」と気づいて。返信できていないメール、やり残した仕事など、雑念として浮かんできたことを手早く処理することで、溜まっていた仕事も心も、スッキリしていきました。

徐々に雑念が減っていき、禅を続けて1か月経つころには、さらに自分が軽くなっているのを感じました。
「私はこういう人間だ」と決めつけていたものを脱いでいき、今までの仕事のキャリア、自分の性格など、積み上げてきたものを一つひとつ手放したような感覚になっていきましたね。

―― 最初に雑念を、次にこだわりや執着を手放していったんですね。

禅で自分の雑念を眺めて分析したり、湧いてくる思いを否定せずありのまま受け止めていくうちに、自分という自我を脱いで、今までとは全く違う視点で世界を見るようになりました。

それまでは、何事も自分ありきで「私はこうしたい、こうすべき」という自我、エゴに振り回されていたのだと気づきましたね。それからは、「家族に対してイライラしていたら、家が心地よい場所になるわけがない」と冷静に考えられるように。
感情やエゴで衝動的に動くのではなく、「その言動は自分と周囲に良い影響を与える?」「私の魂が喜ぶ?」と、行動一つひとつを問うようになりました。

―― 「家には自分の居場所がない」というつらさも解消しましたか?

自分の居場所を無くしていたのは自分だと気がつきました(笑)。自分の心が穏やかで、喜びで満たされていれば、周りも穏やかになります。たとえ周りからネガティブな感情をぶつけられたとしても、影響を受けなくなりましたね。

1か月禅を続けたことで、それまで抱えていたつらさが解消し、自分の変化を実感できたので、今は少しペースダウンして禅を続けています。朝は5分でも坐禅を組むようにして、夜は「寝落ち禅」というプログラムでリラックスするのが気に入っています。

日中の仕事も、「InTrip」の瞑想音楽を聞きながらすると集中力がアップします。特に、鐘の音などお寺の音を聞くと、大好きな京都のお寺にいるような気分を味わえるのが嬉しいですね。
禅をはじめてから仕事のパフォーマンスが上がり、クライアントとの関わり方も深くなりました。

好きな場所で遊ぶように
楽しく禅を続けたい

―― 人との関わり方が深くなったというのは、仕事のどんな時に感じますか?

今年から新たにオンラインのスイーツ若返り法講座やウォーキング講座を始めたんです。コロナ禍で生活環境が変わり、「生き方を変えたい」「健康的に若返りたい」という方が増えています。
私自身、変わりたいという思いで、禅を通して自分の内面と向き合ってきました。その経験から、これまで以上に受講者さんの変わりたいという気持ちに寄り添い、魅力を引き出すにはどうすればいいかを意識するようになりましたね。

―― 柳沢さんご自身が本質と向き合った経験が、お仕事に活きているのですね!

禅を始めて、自分の感性に敏感になり、受講者さんをより深く掘り下げて捉えられるようになりました。
「自分らしく生きられるよう、しなやかなマインドを持ちたい」「心身ともに安定した自分を保ちたい」という受講者さんたちの本質に向き合うと、セッションの内容が濃くなります。そうすると、「私の気持ちが分かるんですね!」「自分に自信が持てるようになりました」など、驚きや感動の言葉をいただくことも増えました。

まず自分と向き合い、心を満たすことで、自分の周りも明るく楽しい場所になっていくということを伝えていきたいですね。

―― 大切なのは、周囲ではなく、自分自身の在り方ということですね。

禅を続けた結果、「周りがどうあれ、私は大丈夫!」と自信を持って言えるようになりました。これからも壁にぶつかることはあると思います。けれど、そうなったらまた集中して坐禅を組んでもいいし、すでに解決方法を知っているので安心していられます。

禅を始める前は、生活の変化など、外側の要因で苦しんでいました。そんな環境から飛び出したいような気持ちで、「一人になりたい、旅行へ行きたい!」と思っていたのですが、今は違います。
禅をすることは、自分の内面を旅するようなもの。自分の中に安らぎや喜び、楽しみを見つけることができたので、遠くまで出かけなくても、毎日が充実しています!

―― 悩みを手放して、今後は禅とどのように付き合っていきたいですか?

禅を始めた当初は、自分を変えたい一心で、毎日懸命に取り組んでいました。今は、いつでも自由に遊びに行けるお寺のような、安心できる居場所として禅が存在しています。

始める前は敷居が高いと思っていましたが、自分の気持ちや状況に合わせて、マイペースにできるのが禅のいいところです。アプリを使えば自宅で好きなときにできて、修行をするという気合もいりません。
ちょっとしたごほうびとして大好きなケーキを食べるように、楽しみとして禅を続けていきたいですね。

―― 生活環境が大きく変化し、自分の居場所を見失っていた柳沢さん。集中して禅に取り組む中で、心の中にある喜びや充足感に気づき、「息抜きや刺激を外側に求めなくなりました」といいます。
柳沢さんが実践したように、外側から内側へとフォーカスを変えることで、変化を乗り越える強さや、毎日を輝かせるヒントを見つけられそうですね。

(聞き手 ライター・野村佳未)

プロフィール

柳沢 晴子さん
食・運動・心から整える若返り法を創案。米国協会公認国際アンチエイジング栄養コンサルタント資格、及びウォーキング・立居振る舞い指導者資格を生かし、細胞レベルから若返る女性の健康と美しさをサポート。「スイーツ若返り法」「若返りウォーキング」等の講座を開講中。また幼児教室、絵本教室、プログラミング教室等の監修や絵本作家として絵本の創作、読み聞かせライブも行う。
著書は絵本「おさかなようちえん」。

ウェブサイト https://www.manabu-kikkake.net
インスタグラム https://www.instagram.com/reverseaging.haru/

「『InTrip』はもはや、私のお守り。仕事や家事に追われる毎日ですが、『InTrip』が道標となり、乱れそうになる心を連れ戻してくれます。特に時空を超えて様々な情景を体感できるサウンドが好き。
和尚様の言葉からは気づきだけでなく、想像力が自然とトレーニングされているのを実感できます。
同じプログラムを繰り返し聞くことで、厳しい修行はしていないのに禅を生活に取り入れることができるのも嬉しい。
いつも心が穏やかでありたい。そのために私は『InTrip』で心の旅を続けます。」

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