戸隠は、冬になると雪に閉ざされる。20キロほど離れた善光寺で雪が積もっていなくても、戸隠は銀世界。そんなことも珍しくはない。
雪が多いことは、水が豊かということでもある。積雪が自然のダムとなるからだ。実際に、戸隠の暮らしはこの水に支えられており、この土地の古い神様である九頭龍も水の神として崇められている。
水の豊かさは、時代が異なる地質で戸隠が成り立っているおかげでもあるという。海に堆積した硬い地層でできた戸隠山と、噴火でできた飯縄山。硬い地盤に支えられた上に飯縄山の隙間の多い地層が重なり、豊富な水を貯めることができるのだ。さらにその地層は天然のろ過装置となり、澄んだおいしい水を里にもたらしている。
異なる地層の、複雑な重なり。それは、戸隠という場所を象徴しているようにも思う。現在の戸隠信仰は天の岩戸伝説が中心となっているが、歴史を紐解いてみると、水の神・九頭龍の信仰、険しい山にこもり厳しい修行を行うことで悟りを得る修験道の逸話、庶民の間で語り継がれる言い伝えなど、複数の物語が重なり合っている。一つ一つを検証していけば、矛盾があるかもしれない。しかしそれすら内包しながら、戸隠は信仰の対象であり続けている。
現在、戸隠信仰の核となっているのは宝光社、火之御子社、中社、九頭龍社、奥社からなる「戸隠神社」。ここではこの五社をめぐりながら、いくつもの信仰と伝承を生み出した戸隠の霊気に触れてみたい。
戸隠神社・五社めぐり
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