小さな島国の宿命とは。
それは大国といかにして渡りあうかということ。「琉球王国」という小さな島国の物語は、現代の日本という島国に置き換えられるのかもしれない──。
15世紀に誕生した琉球王国は、中国の臣下になるという冊封関係を結び、大国の影響力を利用して東アジア、東南アジア全域に船を走らせる貿易国家として栄えていた。
しかし、17世紀。琉球は薩摩に攻め込まれる。武力でねじ伏せられた琉球は、それ以降、薩摩の配下になる。ただし、琉球は中国の臣下でもあり続けた。薩摩の狙いは中国との貿易権を手に入れるためであり、表向きは琉球のまま、裏で貿易を管理するという立場をとったからだ。
琉球は難しい舵取りを迫られた。しかし、琉球独自の文化が花開いたのもここからだった。日本と中国の板挟みになりながらも、両方の文化を取りいれて昇華させていったのだ。
そして、19世紀、琉球は「沖縄県」として併合され、約450年続いた王国も終焉を迎えた。それからわずか数十年後。太平洋戦争・沖縄戦によって首里城も灰塵に帰す。
現在の首里城は戦争によって失われる前の姿を復元したもの。琉球王国のはじまりとともにこの地にあり、国王の住まいであり、政治経済の中枢、外交の舞台、文化発祥の地でもあった首里城。
さまざまな記憶が眠るこの場所で、その物語の数々を拾い集めてみよう。
首里城
小さな島国の宿命、
琉球王国の450年。
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