コラム1|なんと、バスは「普通免許」で運転できる


ぼくたちがバスをオフィスにすると決めたとき、「まずは中型免許を取らなきゃね」なんて話していた。しかし、警察署で確認してみると、「ある手続き」をすると普通免許でも運転できることが判明した。

はじめての試運転をした日の、ぼく、成瀬氏、コリー氏。



その手続きとは「乗車定員の変更」である。ふつうのバスにはあらかじめ乗車定員が登録されている。車検証を見れば書いてあるのだが、ぼくたちの場合は「乗車定員17人」と記載されていた。これを陸運局で「10人以下の数字」に書き換えてもらう。すると、普通免許でも運転できるようになるのだ。

つまり、普通免許と中型免許の違いは車の大きさではなく、乗車定員の数──重さの制限もあるが障壁にはなりにくい──なのだ。これは意外な抜け穴である。

 参考:普通免許でも運転できる

では、「乗車定員」だけ変更すればいいのかと言えば、そうではない。陸運局の話では、乗車定員を10人以下に変更することは、バスから普通乗用車に変更するということ。そのためには「普通乗用車の要件」を満たさなければいけないという。

その要件というのがとてつもなくハードルが高い。バスとはブレーキまわりや施錠装置などなどなどなど、マシン的な要件が違いすぎるのである。メーカーにも問い合わせてみたが、自分たちでDIYするなんて完全に無理ゲーだった。しかし、ここにも抜け穴がある。それが「キャンピングカー申請」だ。

コリー氏は英語編集者としてON THE TRIPに協力。



普通乗用車ではなく「キャンピングカー」に変更するのである。そうすることで、「乗車定員の変更」という特典がもれなくついてくるのだ。ついでに高速道路の代金や、自動車税や重量税などの税金もバスに比べて安くなる。さらに車検が2年に1度で済むようになる(通常は1年に1度)。しかし、これらの金銭的メリットはほんのわずか。あくまで、乗車定員を変更して普通免許で運転するために必要な申請といえよう。というか、ほかに選択肢はないのである。

 参考:キャンピングカー申請の税金比較

バスのデザインをしてくれた太田氏。



さて、キャンピングカー申請をするということは、「キャンピングカーの要件」を満たさなければいけない。「普通乗用車の要件」よりはハードルは低いので、素人のDIYでも工夫次第で乗り越えられる。要件について詳しくは陸運局の分厚い本に書いてあるのだが、これがあまりに小難しい。ざっくり要約すると、このような要件が書いてある。

・キャンピングカー申請には「ベッド」と「キッチン」が必要
 ・ベッドの数は乗車定員の1/3は必要
 ・ベッドの大きさは1人につき「180cm×50cm」は必要
 ・キッチンには「水道設備」と「コンロ」が必要
  ・水道設備は10ℓのタンクが2つ必要
  ・水道設備は「給水タンク→洗面台→排水タンク」と水が流れるシステムが必要
   ・コンロはカセットコンロでいい
   ・調理スペースとして「30cm×20cm」は必要
・ベッドやキッチンなどのキャンピング設備が占める面積が車内の1/2は必要
・それぞれの設備が車に固定されていること
・床から天井まで160cmの高さが必要


これらの要件はほんの一部。実際に改造をしようと考えている人は、なんとか原文を読み解いてみてほしい。ちなみにトイレやバスルームはキャンピングカー申請において必須ではない。

 参考:キャンピングカー申請のための要件

どんなに大きなバスでも、乗車定員さえ少なければ普通免許で運転できる。その抜け穴を利用しておいてなんだが、おかしなルールだなと思う。

何度も工事を手伝ってくれた江川氏、現在はブルキナファソにいる。



これは自動車における法律だが、経済の法律や日常の法律にしたって、法律には必ず穴があるのだろう。すべては人間が作った発展途上のもの。現時点の法律が、絶対的に正しいものとは限らないのだ。

VAN THE TRIP. ぼくたちの旅は続く。
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