STEP4|「ホームセンターはすごい」ベッド、デスク、収納を兼ね備えた家具づくり

TIPS
・初心者ならマネからはじめればいい
・設計図を書いて尺を決める
・頼れるホームセンターを見つける

TOOLS
パネルの板、骨の木、蝶番(ちょうつがい)

初心者ならマネからはじめればいい



ぼくたちのバスは、「コースター」というマイクロバス。一般的なキャンピングカーとは違って窓が多く、もはや「全面ガラス張り」と言ってもいい。ぼくたちはこの解放感が気に入っていた。

たとえば、このバスを断崖絶壁に停めたらどうだろう。窓から見える景色は360度のスクリーン。世界にひとつだけの「絶景オフィス」として、雄大な風景を前に悠々と仕事ができるわけだ。



しかし、このバスに高さのある家具を設置するとワクワクは遮られる。視界は狭まり、車内も狭くなったように感じられる。というわけで、ぼくたちは窓より高い家具を置かないことに決めた。しかし、そうなるとスペースは限られてくる。最小限の家具に最大限の役割を持たせるにはどうすればいいのか。たとえば、ベッドであり、デスクであり、収納でもある。そんな家具はないものか。その答えが「ボックス型」だった。



と言っても、「ハンク」の例を参考にさせてもらっただけ。これを再現するにはどうしたらいいのか。まずは設計図に尺を書き加えていく。

設計図を書いて尺を決める



イチに測量、ニに測量。メジャーでひたすら長さを測る。タイヤの出っ張り部分を覆い隠すような「幅」で、なおかつ座ってもちょうどいい「高さ」のボックスとは? 左右対称というわけにはいかなそうなので、それぞれ測量して計5つのボックスをつくることにする。そして、ボックスとボックスの間に「長い板」を渡せばフラットなベッドに、板の位置を上げればデスクになる仕様を考えた。



ボックス自体は単純だ。まずはマッチ棒で長方体をつくるようなカタチで「骨組み」をつくる。そこに板を貼りつけるだけ。ボックスの設計図も書いてみた。しかし、ぼくたちのそれはおよそ設計図とは呼べないシロモノだった。

頼れるホームセンターを見つける



ホームセンターで設計図を見せて相談すると「骨組みの木の重なり部分の数cm」や「板自体の厚みの数cm」「フタを開閉式にするための余白の数cm」など、想定よりはるかに複雑な計算が必要だと教えてくれた。そして、ここからが驚きだった。



本来は出直して来なければならないところを、「ちょっと待ってくださいね」と言って、猛烈な勢いですべての計算をやりなおしてくれたのだ。そして木材のカットもやってくれた。日本のホームセンターはすごい。いや、「ロイヤルホームセンター新座店」の渡邊さんがすごいのかもしれない。

ぼくたちは、ゆうに30回はこのホームセンターに通うことになるのだが、その度に「ナベさんいますか?」と尋ねて頼りにしていた。お店の人もぼくたちの顔を覚えているかもしれないが、ぼくたちのほうこそ、お店の人全員の顔を覚えているくらいだ。とにかく、ぼくたちはそのパーツを組み立てるだけでよかった。



ちなみに、ボックスのフタは開閉式。もちろん「収納」にするためだ。



宝箱のフタを開けるような構造だが、「蝶番」を取りつけるだけで1日かかった。板を蝶番型に削って埋めこむ必要があるし、スムーズな開閉を保つためのネジ止めもかなりデリケート。悪戦苦闘の結果がこの有り様だ。



ボックスが完成すると、もうひとつ工夫を重ねることにした。ぼくたちは「ガッチャンコ」と呼んでいるが、ボックスの側面に「折りたたみ式 棚受け金具」を使って板をとりつけた。



これをガッチャンコ!すると、キングサイズのベッドになるのだ。雑魚寝には変わりないが、3人で川の字になって全面ガラス張りの窓から満天の星を見ながら眠る。そんな夜を想像している。

VAN THE TRIP. ぼくたちの旅は続く。
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