首里城、書けなかったあとがき。

READIO ON THE TRIP vol.23


首里城のガイドに心残りがある。

「小さな島国の宿命、琉球王国の450年。」そう銘打ったガイドだが、冒頭はこんな言葉からはじまる。

小さな島国の宿命とは。
それは大国といかにして渡りあうかということ。「琉球王国」という小さな島国の物語は、現代の日本という島国に置き換えられるのかもしれない──。


しかし、ガイド上では、その言葉の意味するところを充分に回収できていない。ここに、書けなかった「あとがき」を記しておきたいと思う。


それは、首里城のガイドを通して伝えたかったメッセージ。


琉球王国を舞台にした小説「テンペスト」にこんなセリフがある。

「大国の狭間で生きるというのはそういうものなのです。それが琉球という国の個性なのです。金がないなら智恵がある。だから私たち評定所筆者がいるのです」

評定所筆者とは、首里城で働いていた官僚のことである。世界でも琉球ほどの小国が450年も存続した例はめずらしい。それを成し得たのは大国と渡りあえる優秀な頭脳があったから。逆にいえば、資源がなくとも、武器がなくとも、金がなくとも。アイデアは最後の砦に成り得るということなのかもしれない。


小さな島国の宿命。それは現代の日本が置かれた状況によく似ている。アメリカと中国に挟まれた小さな島国・日本はいかにして大国と渡りあうか。首里城を通して琉球の歴史を旅していると、

・いつまでもアメリカと冊封関係のような状態であっていいのか
・軍事力を頼っていてアメリカが政変期にあっても助けてもらえるのか
・もうひとつの大国・中国に負けない頭脳を持っているのか

そんな現代の日本の問題にリンクする物語が見つかる。いや、その発想はすでに小さいのかもしれない。世界を相手に小さな個人としていかに渡りあうかということ。そう置き換えるべきかもしれない。

・いつまでも日本と冊封関係のような状態にあっていいのか。
・老後を頼っていて日本が政変期にあっても助けてもらえるのか。
・もうひとつの大国・世界に負けない言語力やスキルを持っているのか。


沖縄にいると国境が溶けはじめていることが身をもって感じられる。文字通り、日本の最先端にある沖縄は、その変化をいち早く経験している。コンビニの店員が外国人であることは当たり前だし、国際通りを歩いていると外国人の客引きに外国語で話しかけられたりする。どんな場所にいても無料Wi-Fiが飛んでいるのも驚くばかりだ。

世界のインターネット化は止まらない。それに比例するようにグローバル化も止められない。が、もっと確度の高い真理がある。「歴史は繰り返される」だ。琉球王国が450年をかけて歩んできた経験は日本においても繰り返されるかもしれない。

だからこそ、一度ならず定期的に。沖縄を訪れ、首里城に訪れ、現在の立ち位置を身をもって感じる旅を続けてほしい。ぼくたちにとって沖縄は、日本の中の異国であり続ける。


ON THE TRIP. ぼくたちの旅は続く。

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